夏の自由研究・今さら『SASURA』その2
私の作者予想です。
木原音瀬さんはともかく、岩本薫さんの作風がよくわからなくて苦戦してます。
一巻
プロローグ(日本・現代編)・・・ひちわゆか
古代エジプト編 ・・・和泉桂
古代中国編 ・・・木原音瀬
二巻
古代ローマ編 ・・・岩本薫
ドイツ編 ・・・ひちわゆか
三巻
インカ帝国編 ・・・和泉桂
日本・江戸編 ・・・木原音瀬
四巻
日本・大正編 ・・・岩本薫
日本・現代編 ・・・ひちわゆか
■勝手な推理根拠(外れたら笑ってください)
・中国と江戸は、キャラも展開も全てが木原節だから。
・ドイツと現代は雰囲気が似ているから同作者では?
・現代にはひちわさんの既読本を思い出させる描写があった。
・雑誌掲載分の4話(エジプト、ヨーロッパ、江戸、大正)は各作家が一話づつ書いたと考えた。そのうち、ヨーロッパと江戸は見当がついたので、残るエジプトを和泉さん、大正を岩本さんにしてみた。
・大正時代といえば和泉さんの人気作『清間寺シリーズ』があり、作者得意の「美味しい」という台詞も登場するけれど、あえてこれをひっかけと判断した。
・カップリングや展開が私の萌えとズレる作品はAさんか?。(^^ゞ
★さる方のご好意で番外小冊子を貸して頂ける事になりました。その本にヒントがあるそうなので、読んだ後に一部記事を追加するかもしれません。
夏の自由研究・今さら『SASRA』その1
昨年話題になった『SASRA』全4巻とは、和泉桂、岩本薫、木原音瀬、ひちわゆか、の四作家によるユニット“Unit Vanilla ”の覆面リレー小説です。古代エジプトで神の怒りをかった恋人達が、何度も生まれ変わっては引き裂かれ、ついに現代で恋を成就させるお話です。だれがどのパートを書いたかを明らかにしていない為に、あちこちのブログで感想とともに作者予想が書かれました。![]()
全体の感想
運命の相手と結ばれない、それはBLで死にネタを意味する事を、読み出してから気が付きました。最終話以外は全部死にネタ祭りなのかと引き返そうとしたのですが、面白くてやめられずに、泣きながら二日で完読しました。
たとえ同じ死にネタでも、物語の舞台も作者も全てバラバラな短編なので飽きることがありません。木原さんの話以外は、数年間は幸せに過ごせるなど、適度な救いや明るさが用意されている話もあります。特に巻が進むほど神の怒りも薄れてくる為に、四巻は悲恋と言うほどでもありませんでした。ただこうなると逆に物足りない気もします。
どうも木原さん(と思われる)江戸編のインパクトが大きすぎて、全てが霞んでしまうのです。
またこれは個人の好みですが、古代エジプトから数千年の時を経て最終巻でついに結ばれたカップルというのが、能天気なエロおやじ×大学生というのはちょっと肩透かしな感じがありました。話の発端であるエジプト編がシリアスなので、途中に激痛やコミカルな話を入れても、最後は和泉桂さんあたりの気高くシリアスな昼メロで締めて欲しかったです。
もちろんこのシチュエーションが好きな方もいるわけで、そのあたりは全ての作家ファンを満足させる難しさでしょう。
ライトノベルらしいベタな展開の面白さに加え、死にネタ祭りで思い切り泣いて、作家当ても楽しめる。なかなかお得なシリーズです。
同人誌では複数の作家がユニットを組むことはよくあるので、私も一つ考えてみました。沙野風結子、水原とほる、綺月陣のユニットはどうですか。エロい・痛い、怖いの三拍子です。皆さん微妙に雰囲気が重なるところがありますから、作者当ても難しそうだし、罰ゲーム(何の?)にも使えそうです。
★江戸編あらすじ(三巻収録)
貧しい御家人の幸之助は、謎の男から住み込みの仕事を紹介される。それは、蔵の座敷牢に繋がれて、鉄仮面をつけられた少年の世話をすることだった。自分がいつか口封じに殺される事に怯えながらも、幸之助は哀れな少年に情を感じていく。
ちょっとネタバレします。
鉄仮面&座敷牢という設定を聞いた時には笑ったけれど、読み終わる頃には涙でぐじゃぐじゃになりました。
他の作家さんは二人に待ち受ける死に対して、それを受け入れるだけの時間の猶予や、心の確かめ合い(「死ぬ時は、一緒だ!」)があります。
しかし木原さんにはそれがありません。シリーズの中で書いた(と思われる)古代中国編もそうですが、不意に襲った恋人の死を、相手が知る寸前で話をバサリと終わらせます。ですから後に続く悲嘆に狂った彼らの心情は、読者が思い入れたっぷりに自分で想像する事になり、それが痛さを無限大にするのです。
木原さんに死にネタを書かせるというのは、野に野獣を放つようなものです。容赦なくエグくて、容赦なく純粋で、そしてとことん残酷です。いかにも木原さんらしい作品でした。またそれだけでなく、物語としても全話の中で一番うまかったと思います。(思い出して、また涙が出てきちゃった)
夏休みの遠足
お盆休みの最終日を自由時間に貰えたので、ドニチエコきっぷを使った名古屋買出しツアーをしてみました。
ドニチエコきっぷとは、土日、休日、8日に販売される割安な地下鉄&市バス一日乗車券です。(600円)
乗車する赤池駅から、「まんだらけ」のある上前津駅の間にあるブックオフで、駅から徒歩3分で行ける二店舗をピックアップしました。該当する平針駅、いりなか駅で途中下車して狩りを開始!。お目当てのものも幾つか見つかり、上前津駅でTさんに会った時には14冊の本が腕に食い込んで苦しかったです。
そして昨秋に移転した「まんだらけ・名古屋店」へTさんと初めて乗り込みました。
男性向け同人誌と女性向けBLコーナーは同じフロアです。今でこそ大事な何かを捨て去った私ですが、BL初心者時代なら相当恥ずかしかったでしょう。以前より面積が増えた分、商業本の品揃えはかなり充実していました。
そして高額品の並んだガラスケースに、高永ひなこ『リトル・バタフライ』の小冊子を発見しました。そんな物があったとは!と大興奮して値段を見たら、8000円でした。8000円かぁ・・・・。(涙)
次に久屋大通駅に移動してMさんと合流しました。
今度は「とらのあな」です。お買い物をするとオリジナル絵柄のコースターが貰えるフェアをやっており、私は門地かおりさんのを頂きました。(柄は選べません)
そして中古同人誌店の「明輝堂・名古屋店」へ行き、ガサゴソと物色です。そこでちょっと変わった商品を購入しました。
あの迷作『僕のセクシャルハラスメント』(桃さくら)がOVA化された時に、作者の所属サークル「プリッツ倶楽部」が出した非公式ガイドブックです。キャラのラフ画やアニメ絵の紹介、アテレコのレポート、番外SS等が収録されていました。作者の他に、七瀬かい、桜海、鹿住槇さん他も参加しています。なお、これはOVA第1巻を対象にしているので、トウモロコシは登場していません。
明輝堂の前にある地下街入り口の階段を下りると、そこは一般書店「丸善・セントラルパーク店」です。こちらではMさんが雑誌の探し物をしていました。
その後お茶をして、東急ハンズで夏休み自由工作の材料を買い、家族へ土産を購入して帰途につきました。
お買い物はこんな感じです。
・同人誌2冊
・コミック(非BL)。
安野モヨコ『働きマン1〜4』立ち読みしたら止まらなくて。
・小説13冊
池波正太郎の絶版文庫、超嬉しかった
剛しいら「ドク×ボクシリーズ(1〜4巻)」
他はSF、アラブ、ヤクザなどジャンルを問わないBL本
夜は足に湿布薬を貼りまくって寝ました。(^^ゞ
大人の遠足にお付き合いくださったTさん、Mさん、ありがとうございました。
一穂ミチ『雪よ林檎の香のごとく』
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あらすじ
受験の失敗で不本意な進学をした高校生の志緒は、編入試験を目指して苛立つ心を抱えながら毎日猛勉強していた。ところがある日、早朝の図書館で、いつも飄々としている担任・ 桂の涙を見てしまう。(ディアプラス文庫2008年)
お世話になっているTさんから、今月ディアプラス文庫でデビューした新人さんが最高です!、と教えていただきました。すわ第二の“いつき朔夜”出現かと、さっそくポチッとしました。
こ・れ・は・上・手・い。
例えるなら、ジャンルは何でもありの音楽コンテストで、いきなりクラシックピアノが登場した感じです。(しかも演奏者は、子供の頃から毎日3時間は練習していたような人)
基本がしっかり出来た人が書いた、正統派の文学系恋愛小説です。素人が勢いだけで書いた小説ではありません。たわいもない雑談が後の小さなセリフの伏線となり、そこでクスリと笑えるように作られるなど、考え抜いたセリフがきっちり配置されています。キャラや設定も同様で、展開に説得力と安定感がありました。
全くの推測ですけれど、この方は小説の技巧をちょっと勉強したことがある人ではないでしょうか。
出遅れてしまったゆえに、素晴らしい感想文があちこちで挙げられているのと、頭が一杯で文章をまとめることが出来ません。
全体を通して「親子」が大きなキーワードになっており、これが何度も涙腺を刺激しました。読み終わってから、高校時代から今日に至るまでの桂先生の心情を、反芻しては浸っています。
思春期の子供は、大人の想像以上に鋭い観察眼と繊細な感受性を持ちます。それに対し、知識と経験の蓄積不足のアンバランスが大きく、得た情報を上手に処理できません。それが幼いという事であり、その幼さが人生の一時期にしか存在しない、眩しさと力でもある事がわかるのは、ずっと先の話です。当初は志緒に対して冷静な観察者であった桂先生は、やがてその力によって、自分自身が思春期に背負った十字架を下ろす事ができるのです。
母親がこの年で妊娠した事に、複雑な思いを抱く志緒の告白を、桂先生は穏やかに受け止めます。このシーンに込められた本当の意味と伏線の大きさを読後に考えると、やはりこの話はすごいと思うのでした。
念のため、桂先生の涙の訳は男関係ではないです。(苦笑)もっと深くて切ないお話です。月村奎さんなどが好きな方には、非常にお奨めです。
デイアプラスのHPで番外編SSが読めます。是非この作家さんを大事に丁寧に育てて欲しいですね。
高塔望生『狼は蒼い月を抱く』
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あらすじ
深夜当直の外科医・浅倉のもとに、刺し傷を負った刺青の男・志波が飛び込んできた。元ヤクザだという志波は会った直後から浅倉を口説き続けるが、胡散臭くて謎が多い様子は変わらない。そんな折、浅倉の大学時代の指導医・三枝が急死し、朝倉は新薬開発を巡る陰謀に巻き込まれていく。(アズノベルズ2007年)
これは全くの白紙状態で読む方が、サスペンス気分を楽しめてお得だと思います。でも気がつくと、裏表紙に志波の正体がバラしてあるではないですか!?。出版社がネタバレしてはだめですよ〜。
志波は服役中に組が潰れて廃業した元ヤクザです。高塔さんのBLに登場するヤクザや刑事は、大抵、挫折を抱えた哀愁があり、そこがまた個人的にツボなのです。そして受けの朝倉は、恋人(男)を執刀した手術で救えなかった事を悔やむ、未亡人の外科医です。
しつこいヤクザ風の男からのアプローチをツンデレ美人がかわす話は、三枝の急死からサスペンスへと急展開します。リアル派の高塔さんですから、大学病院を舞台にした権力争いや事件全体のあらましも、BLにしては結構それらしく読ませます。志波を動かす黒幕もなかなかわからなくて、最後まで面白かったです。
BLヤクザにもいろいろありますが、志波は苦労人のオヤジらしく優しくて紳士的でした。最初からいきなり○○とか、暴力的に振舞う事は余りないので、水原とほる系ヤクザが苦手な人にはお奨めです。
菅野彰 『モダン・タイムス』シリーズ

今市子の表紙が素敵(「モダン・タイムス1」のみ西炯子)
あらすじ
時は江戸末期。長崎帰りの医師・千尋は、学んだ蘭学を活かさずに、貧しい町医者をしていた。幼馴染の同心・健吾は、そんな彼の家に入り浸っては、のんきに世話を焼いている。
ところが子供が次々とさらわれる事件が起こり、ほんの成り行きから、千尋は女装の義賊・朱頭巾として悪を懲らしめることになる。しかも千尋とは気づかない健吾は、朱頭巾に惚れてしまい・・・。
(ウイングスノヴェルズ1996〜99)
『モダン・タイムス』全三巻、番外編『木蘭の櫂 沙棠の舟』
限りなくBLに近いライトノベルというか、ヤらないBLというべきか。
お江戸のホームコメディ(千尋は身寄りのない子供を二人養っている)に、毎回発生する事件の謎解きが絡みます。そして事件を解き明かす過程で、登場人物達が、実はそれぞれ辛い過去や事情を背負っていることが明らかになっていきます。
千尋は“お家取り潰し”になった旗本の一人息子です。長屋の住人に流れ着くまでには辛い出来事と挫折があったわけで、明るく振舞いながらも人生を半分投げた所があります。そんな彼が、理不尽な運命でも必死に生きる人達に出会い、自分を必要とする者を得て、もう一度人生をやり直してみようと立ち上がるまでのお話です。(作者の『なんでも屋ナンデモアリ』を連想)
巻き込まれる事件も、仇討ちから怪談まで様々で楽しく、筆達者な菅野さんですから時代物でも非常に読み易いです。
私のお気に入りは、ツンデレ与力・慈雨です。幼少時に健吾の家に引き取られ、兄弟のように育てられた慈雨は、人当たりの良い外面に反して、心の中に不気味な闇を飼っています。
先に『モダン・タイムス』を読んで、慈雨の謎が解けてない!と怒ったら、ちゃんと彼を主人公にした『木蘭の櫂 沙棠の舟』が出ていました。ある種の狂人(殺人狂?)を父に持つ少年が、受け継いだその血に怯えながらも、養父(健吾の父)の愛情で救われていくお話です。
慈雨には、彼に言い寄る長七郎という友人がいるので、早々に彼と結ばれると思っていました。でもジジイ(養父)狙いだったとは渋いです!。こうなったら一生片思いでも、貫いて欲しいなあ。
十掛ありい『花町物語』
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あらすじ
英国人の父と遊女の母との間に生まれた朱璃は、幼い頃に両親を亡くし、かつて母親がいた遊郭で虐待されながら成長した。 そんなある日、陰間茶屋「華菱」の主人・東條巽は、混血である朱璃の美しさに気がついて遊郭より買い請け、店へと連れ帰る。(リンクスロマンス2006年)
BLゲームの長編ノベライズを初めて読みました。
元のゲームは知らないのですけれど、おそらく陰間として買われた朱璃に対し、経営者(東條)、先輩の陰間、店の用心棒、軍人、画家などの登場人物の中から、プレイヤーの希望する攻めを選び、陰間修行→水揚げ→攻めとハッピーエンド(又はバッドエンド)と展開するのではないかと思います。
小説版は既にカップリングが出来ているため、選ばれなかった攻め候補達は“中途半端な脇役”や“ぬるい当て馬”になって、話が進む感じです。また読んでいると、このセリフの返事しだいで朱璃の選ぶ相手が変わるのではないか、というポイントも何となく予想がつき、いつもと違った読書の仕方を楽しみました。
ただ、ゲーム自体に緻密なエピソードや心理描写が入っている訳ではないので、登場人物達の抱える個々の事情などはあっさり流され、全く普通のBL小説としては読むと、かなり物足りない感じがします。
遊郭物なので陰間修行のあれこれから水揚げまで、エロは十分あります。また挿絵はゲーム同様にタカツキノボルさんですから、非常に綺麗で、私も挿絵に惹かれて買いました。
松岡なつき『WILD WIND』
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あらすじ
「埼玉の住宅街のど真ん中に、温泉を掘る!」老いても冒険心を失わない伯父は、アメリカから石油掘削のプロチームを招いた。米国育ちで、両親亡き後に日本の伯父に引き取られた春央(17)は、さっそく彼らの通訳を任される。
テキサスから来た掘削メンバー達は、恐ろしげな外見に反して皆優しく、春央はリーダーのアレックス(28)への恋に翻弄されていく。(キャラ文庫2000年)
石油掘削というマッチョな世界に身を置くために、ゲイである事を隠して生活するアレックス。そして帰国子女として日本では周囲から浮き上がり、さりとて米国人としても認められない春央。両者とも二つの世界の間に、コウモリのように中途半端に属する辛さを抱えており、それが相手への親近感を高めていきます。
ファンションや美容業界と違い、絵に描いたようなマッチョさ、例えるなら「グラマー女が好きな西部の荒くれ男」を求められる環境というのは、確かにしんどいだろうなと思います。(別に性的志向とは関係無しに)
松岡さんの“なんちゃって外国小説”は読みやすいし、さすがに書き慣れた安定感があります。特に“なんちゃって”を演出する為の、いかにもアメリカンな言い回しや単語の使い方といった芸が、とても楽しめました。また女房に逃げられて以来、家庭的な女性(=まともな女性)と交際することから逃げているアレックスの父親など、脇役キャラも細かいところまで出来ています。
このお話を最初に教えてくれた方が、押入れの中でする話だと言われたので、いつ押入れが登場するのかワクワク(笑)しながら読んだことを、ここに白状しておきます。トラックの荷台からラブホまで、場所のバリエに富んだ濡れ場も、なかなかエロかったですよ。
プロフィール
Author:アラスカ40
高校卒業時に足を洗ったはずが、三十路を過ぎてBL復帰。
好物はリーマン・専門職・ヤクザ・オヤジ・素敵な当て馬・・・。トンチキとキワモノも大好き。
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